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2021.04.15 離婚・男女問題

離婚協議書とは~作成する必要があるか、作成例~


⑴離婚協議書とは
双方の話し合いができ、離婚の合意があれば、離婚届をだせば離婚は成立します。
ただ、離婚届には子どもの親権を決めることしか記載されておらず、財産分与、慰謝料、養育費、面会交流などを記載するところがありません。
離婚する際に、財産分与、慰謝料、養育費、面会交流等を定めるときは、離婚届とは別に書面、離婚協議書を作成し、夫婦双方で合意する必要があります。
離婚協議書に決まった様式があるわけではありません。A4あるいはA3のサイズでもよいですし、ノートの切れ端でも有効です。

⑵離婚協議書の例
離婚協議書の例を記載いたします。下記の例では当事者は、甲乙と記載しており、乙を親権者としています。なお、この順番で作成する必要はありません。
①離婚届出を署名・押印し提出することを記載する
「甲と乙は、本日、協議離婚することに合意し、甲は離婚届出用紙に所要事項を記載し署名押印の上、その届出を乙に託し、乙は速やかに離婚の届出をする。」
②子どもの親権者を記載する。離婚届にも親権者は記載しますが、離婚協議書でも確認のために記載いたしましょう。
「当事者間の長男●●(令和●年●月●日生)、長女(令和●年●月●日生)の親権者を乙と定める。」
③養育費を定めます。子どもさんの養育費の相場としてどれぐらいが適正か、終期として20歳にすべきか、大学卒業するまでにすべきかは事案によって異なりますので、お困りの際には弁護士にご相談ください。
「甲は、乙に対し、●項記載の子らの養育費として、令和●年●月から同人らが満20歳に達する日の属する月まで、月額●万円(一人当たり●万円)を毎月末日限り、乙の指定する口座に振り込んで支払う。振込手数料は甲の負担とする。」
④財産分与を定めます。下記の例のように金銭の支払いではなく、不動産を分与することもできます。住宅ローンがある場合にだれが支払うかによっても記載方法は異なります。詳細は弁護士にご相談ください。
「甲は、乙に対し、本件離婚に伴う財産分与として金●万円を支払う。振込手数料は甲の負担とする。」
⑤慰謝料を定めます。慰謝料の額がどれだけになるか、裁判例の相場を知りたい場合は弁護士にご相談ください。
「甲は、乙に対し、慰謝料として金●万円を支払う。振込手数料は甲の負担とする。」
⑥面会交流を定めます。
「乙は、甲に対し、甲と●項記載の子らとが月●回程度面会交流することを認める。」
⑦離婚協議書の内容で合意し、お互い協議書以上に請求できないことを確認するために清算条項を記載します。
「甲乙双方は、以上をもって本件離婚に関する問題を一切解決したものとし、これに関し、本離婚協議書に定めるほかに何らの債権債務がないことを相互に確認する。」

下記の離婚協議書案をご参考にお使いください。
離婚協議書案

⑶公正証書で離婚協議書を作成する理由
離婚協議書はどのような書面でも有効ですが、相手方が離婚協議書の内容を守らない場合に、別途裁判による必要があります。
離婚はできたが、養育費を支払わない、財産分与として決めた額を支払わないときに、事前に公正証書で離婚協議書を作成していると、別途裁判をしなくても公正証書を使って相手方の財産を差し押さえたりすることができます。
公正証書で差押えたりする強制執行ができるのは、金銭についてだけですので、例えば、公正証書で作成したが、相手方が離婚しない場合には公正証書をもって、離婚することはできません。また、不動産の登記を移転するなども公正証書ではできません。
公正証書は公証人役場で作成いたします。
どのような内容であるならば公正証書にする意味があるかについてもお困りの際には弁護士にご相談ください。

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