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2017.12.26 遺産相続

負債が多く、相続したくないと思ったとき知っておきたい6つのこと

1 相続放棄とは

そもそも相続とは、人が死亡したときに、亡くなった人と一定の身分関係にあった者が、亡くなった人が生前に保有していた財産の権利義務を受け継ぐことです。

受け継ぐ対象となるのは、預貯金、現金、不動産、株式などのプラスの財産(資産)だけでなく、借金などのマイナスの財産(負債)も全て対象となります。

マイナスの財産まで引き継ぐことになりますと、プラスの財産が少なく、マイナスの財産が多い場合、相続をしたくないという方もおられると思います。

そのような場合に相続を放棄する手続きが相続放棄です。

相続放棄は、プラスの財産も一切相続しないかわりに、マイナスの財産も相続しません。

他の手続き、たとえば遺言や遺産分割協議でマイナスの財産をだれか一人に相続させると定めても債権者には効力がなく、債権者は分割された債権をそれぞれの相続人に請求できてしまいます。

相続放棄を行えば、被相続人の事業をだれか一人に相続させたいときも事業を引き継ぐ相続人以外が相続放棄することでプラスの財産だけでなく、マイナスの財産も含めて一人だけに相続させ、相続財産を集約できます。

 

2 相続放棄の手続期間

被相続人が亡くなったことを知ったときから3ヶ月以内に,「相続放棄の申述書」を作成し、亡くなった方の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に提出します。

亡くなったときことを「知ったとき」からですので、たとえば、被相続人と疎遠となっており、死亡してから半年ほど経ってから、亡くなったことを知った場合でも、「知ったとき」から3カ月以内ですので、相続放棄することができます。

また、3カ月以内では、被相続人の財産や債務(借金)を全て把握することができないというときは、3カ月の相続放棄の期間を伸ばすことができます。相続放棄の期間を伸ばすためには、家庭裁判所での手続きが必要となります。

ただ、この相続放棄の期間を伸長するのは必ず認められるとは限りませんので、相続放棄する場合はできる限り3カ月以内で相続放棄の手続きをすることをお勧めします。

 

3相続放棄をする家庭裁判所

相続放棄の手続きをする家庭裁判所は、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所です。被相続人の亡くなったときの居住地が西宮市であれば、神戸家庭裁判所尼崎支部になります。

 

4 相続放棄と死亡保険金

相続放棄すると、プラスの財産も、マイナスの財産も受け継ぎませんが、亡くなった被相続人が死亡保険金をかけており、受取人が相続人になっていた場合、受取人は相続放棄すると保険金ももらえないでしょうか。

保険金は、受取人固有の財産となり、相続財産とはならず、相続放棄する財産の対象とならないので、相談者が相続放棄しても保険金を受け取ることはできます。たとえば、被相続人が生前、生命保険金の受取人欄にお母様の氏名を記載している場合には、生命保険金は遺産には含まれないことになり、(相続放棄をした後も)受取人は保険契約にもとづいて生命保険金を受け取ることができます。

ただし、契約者である被相続人が自らを保険金の受取人に指定していた場合は、保険金は被相続人自身の財産となり、この場合は、相続放棄すると保険金を受け取ることはできません。

 

5 相続放棄と遺族年金

相続放棄した場合でも、遺族年金をもらうことができるでしょうか。

A遺族年金は、相続とは関係なく、法律の規定に基づいて「生計を同一としていた者」に支給されるものですので、相続の対象とはなりません。

したがって、相続人が相続放棄しても遺族年金を受け取ることはできますし、遺族年金を受け取っても、相続放棄できます。

 

6 相続放棄ができない場合

民法921条は、

(1)相続人が相続財産の一部でも処分した場合

(2)3ヶ月の熟慮期間が過ぎてしまった場合

(3)遺産を隠すなど背信行為をした場合

には単純承認した(被相続人の資産及び負債の相続を認めること)ものとみなして、相続放棄ができなくなると定めています。

この定めの趣旨は遺産の一部をすでに遣っておきながら、後に相続放棄によって負債を免れるというような身勝手は許さないという趣旨です。

遺産である被相続人名義の預金を遣ってしまうことは、相続財産の処分に該当するとされるおそれがあるので注意を要します。

ただし、被相続人が保管していた現金などを被相続人の火葬費用や未払治療費の支払の一部に充てた場合などに例外的に単純承認とはみなされないケースもあります。

実際に私が相談されたケースでも、相続人の方は被相続人の葬式費用として約100万円を被相続人名義の預貯金から引き出していましたが、相談の際に、葬式費用として使用したことを資料を添付して裁判所に説明することができましたので、相続放棄の申述が裁判所において認められました。判断に悩まれる場合は弁護士にご相談ください。

 

 

 

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